「断食道場体験記 初日」の続き。あくる日のことでございます。
昨夜21:00に就寝でしたが旅の疲れからかすぐに寝入って、夜中に一度目が覚めたものの、
次に気付いた時には朝になっていました。
入場二日目が始まりました。
2017年12月30日、本日から断食に入ります。
断食道場での断食1日目
7:00 起床
7:00起床と一応スケジュール表には書かれていますが、まだ薄暗く、その時間より早い目覚めでした。
部屋の外で人が活動している音がしていてそれで起きたのでした。
洗面所もトイレも共用なので、部屋を出る必要があります。もう起きて身支度をしている人がいるってことです。あと数分すれば7時です。早いなあ。
まだ布団の中にいて時間を確認すると7時を回っていました。起床の合図はありませんでした。いつ起きようと自由ってことのようです。
布団から出たくなくて、私はそのままごろごろし続けました。
この部屋は二階にあって、階段に近いお部屋です。数人が階段を降りて行くのがわかりました。はやくから活動的だなあと感心しました。
明るくなってきたことだし、8時がお茶の時間と聞いた気がするから起きよう。
着替えが冷たい。
だから起きるの嫌だったんだよ。
ひいひい言いながら着替えると、バタバタと階段を上がってくる音がします。先ほど降りていった人たちが帰ってきたようです。朝の散歩にでも行ってたのかな? それにしては帰ってくるのはやすぎやけど。
8:00 お茶の時間の梅しょうゆ番茶
「お茶の用意がととのいましたので——」とアナウンスが流れました。
なんだ、館内放送はちゃんと聞こえます。放送事故でもなんでもなく、就寝の合図も起床の合図も無い、昨日の講演放送は無かった、そういうことです。
静座室に集まります。
テーブルの上にヤカンと醤油差しと梅干しの入った小鉢と人数分の湯のみとがお盆に置いてあります。
写真は撮り忘れました。お茶です。まあ……お茶ですね。
各々が「梅しょうゆ番茶(だったかいな?)」を作ります。
湯のみに梅干しを一個入れて、実を箸でよくほぐして潰します。そこに醤油大さじ1(←!?)を入れて、ヤカンのお茶をそこに注ぎ入れて完成。
道場の方がそこにいるわけでもなく説明に来てくれるわけでもないので、説明の立て札を読むか先輩に聞くなり真似するなり、戸惑いながらのお茶でした。
初回なので説明書き通りに作ろうとしましたが、普段から醤油をほとんど使わない自分には醤油大さじ1がどうにもこうにもハードルが高く、そこは小さじ1程度にしました。
口にすると、まあ、お茶だ。
温かいのでホッとすると言いたいところですが、それよりも、濃いというか渋いというか、辛いというか、不慣れな味がホッとする感を上塗りしていきました。
残った感想、渋まずい。
しぶしぶ飲み干す。
……はやくも明日から楽しみじゃないぞ。
みんなが文句を垂れずに飲んでいるのを、さらには「おいしい」と言って飲む人がいるのを驚いて見ます。
友人も美味しくはない様子ですが、私よりは平気そうに飲んでいます。それも醤油大さじ1を守った上で。濃いわと言います。
ここでは他の人ほぼ全員と顔を合わせられるので情報交換の場になります。
話していると、私たち以外のほとんどが、今朝の7時30分にこの静座室に集まっていたとわかりました。
スケジュール表にある「7:30 静座(一日おき)」が行われると思って待っていたと。
しかし時間が過ぎても始まらず、8時のお茶までまだ時間があると言われて部屋に引き返したとのことでした。
7時台の階段バタバタはそういうことだったわけです。
私たちは静座は行なっていないことを受付時に聞いていたのですが、他の人は違ったのかな。
まあ、受付係のおじいさんもさらっと言っただけだから、聞いても忘れちゃうかもしれません。なんせ、スケジュール表にはきちんと日課として書かれてありますもんね。
10:00 朝食は具なし味噌汁
お茶(8:00)の後はスケジュールとしては掃除と散歩になっていますが、好きにしたらいいところなので、自分の部屋に掃除機をかけた以外はテレビを見ていました。
今日から断食メニューです。
断食中の食事は部屋食になります。断食といっても何も口にしないわけではなく、朝食時にはお味噌汁が出るとのことです。
10時、ノックがされました。
運んできてくれたお盆から自分たちの分をもらいました。
台に並べたたった二つのお椀。蓋を開けますと、
味噌汁。
なんなのかわからないけど、葉が散らしてあります。それ以外に具は視認できません。
具がないから箸もない。写真だと丼サイズに見えるかもしれませんが普通サイズのお椀です。
いい匂いです。
生き返る。ホッとする。
ゆっくり飲んでも3分あれば飲んでしまいます。名残惜しいので葉っぱを1枚ずつ前歯で噛み続けていました。前歯にしたのは奥歯だとすぐにすり潰してしまうからです。
16時の夕食までこの後何にも口にできません。しつこく葉っぱを噛みました。……三つ葉ではないな。
お腹がキュルキュル言いだしました。胃腸が活動しているのがわかります。しばらくしてトイレに行きました。
10:40 館内放送での講演
朝食を済ませてお椀を返却しおわると、おばあさんの声で館内放送が入りました。
10:40から講演があるので散歩に行く人はそれが終わってから行くようにとのことでした。
というわけで、散歩に出るつもりでしたが、しばらくお部屋に待機することになりました。
今朝のお茶の時間に大学生のおねえさんがこのあと「法隆寺まで歩いて行く」と言っていたことを思い出しました。
法隆寺までは片道2時間かかるっていう話です。
帰りはバスで戻るとのことですが、早く出発するに越したことはないのでどうするんだろうと気になりました。
10時40分すぎ、館内放送でお話が始まりました。
昨夜お会いしたおばあさん、道場長さんの声です。
ゆっくりお話されます。録音されたものが流れるのかと思いきや、思いきり生放送です。ところどころで無音になるので終わったのかと思えば続きます。
漢方薬の名前など、ところどころで「え?」と聞き返したいところはありましたが、自分のことを言われているような、興味深いお話でした。「水毒」についてでした。
もう終わったのかな、これで終わったのかな、と3回ほど惑わされたのち、本当にお話が終わったときは11時を回っていたと思います。
これから法隆寺を目指して16時(夕食の時間)までに戻るのは厳しいと思い、あのおねえさんどうするんだろうとまた気になりました。
散歩 大門ダム
もうすぐお昼ですが昼食はありません。日課表の13:30の講演はすでに終わったし、今日は体操もないはずだし、本日の残された楽しみは16時の夕食だけです。
テレビばっかり見ていてもいいのですが、せっかく信貴山にいるので周辺を散策することにしました。
いい天気でした。
すぐに坂道。お部屋は冷え冷えとしていますが、風がないので外に出てすこし歩けば体が温かいです。
帰りに利用する予定のバス停「信貴山」まで下見を兼ねて歩いてみました。
仁王門を過ぎたあたりから下り坂になって、無理なく歩ける距離でした。ほとんど下りなのでスーツケースを引いて歩くこともできそうです。
そこから大門ダムへ。
ダム好きでもなんでもないけど、案内図にあったから行ってみました。
放流していませんでしたが、もし水が流されるならプールにある急流すべりみたいだなあ、と。しかもメチャクチャ急傾斜。こんなの滑ったら大変ヤバイ。
そこからもう少し歩いてとっくり湖の吊り橋を渡って帰りました。
散歩 弁財天の滝
一旦部屋に帰って休憩したのち、また散歩。
北方向への上りの坂道はキツく、玉蔵院に至ったところで引き返しました。
午前に通って帰った信貴山観光ホテルに繋がる南方向への道は、こちらも勾配がきつく、今度は上りになるのでやっぱりキツい。
したがって
道場近くに「弁財天の滝 12分」という立て札がしてある細い山道があります。午後はそこを歩きました。
あちこちから水が滲み出て斜面を下るので道がぬかるみ、沢に変わっているところがあります。横の茂みから獣が出てきても不思議はありません。
かくて弁財天の滝とやらに着きました。
奥に小規模ながら滝が見えたのでそうなのでしょう。
鳥居が立っているので神社だと思いますが、打ち捨てられた社といった様で、休憩小屋なのかなんなのかは屋根が崩れて地面に落ちています。
ここより先があるようにも見えないし、これ以上近くに行くのが憚られます。全体が薄暗いです。
佇んでいると、社より奥の山から人が一人下りてくるのが見えました。社の前を横切った先に道が続いているようです。
山を下りてきた男性は神社前を横切って私たちのところまで歩いてきます。頭に被り物をしていてゴムの長靴を履いて大きな歩幅で歩いています。
私たちが見守る中、通り過ぎて行くかというとき、地面がぬかるんでいるから気をつけるよう言われました。
声を聞いて私は彼はお坊さんだと思いました。
すると友人がこの先はどこに繋がっているのかと彼に尋ねました。
彼は足を止めて教えてくれました。
が、ふむふむと聞いたところでわかってはいません。
地図で教えてくれようとしてくれましたが私たちは地図を持っていません。
暗くなるのが早い時期で地図も持たず土地勘もないわけで、やめたほうがいいという結論でした。
男性は慣れた感じで私たちが来た道を下って行きました。
私たちは来た道を引き返しました。
ほとんど戻って来たところで、観光客とわかる四、五人とすれ違いました。
「12分くらいですか」と聞かれました。近くの立て札に書いてあった滝までの所要時間です。
「ここを行っても特に何もありませんよ」と言いたいところでしたが、正直時間はよくわかりませんがさほど遠くはなかったので「それくらいですね」と答えるだけにしました。
他にもすれ違いました。
普段は誰も用事のなさそうなこの道。
ですが今は年末です。信貴山観光ホテルに宿泊する人が夕食前に周辺を散策しているのでしょう。
自分たちもフツーに観光に来るのでもよかったなあと、彼らのこの後の過ごし方を勝手に想像して羨ましがりながら道場に帰りました。
16:00 夕食の片栗汁
部屋に戻ったのは15時すぎでした。
十分に歩いたと思えた本日の歩数はiPhoneのヘルスケアの記録によりますと10,819歩でした。
運動したら食事が待ち遠しいです。
16:00、部屋のドアにノックがされ、運ばれて来ました夕食。わいわい。
お茶碗に茶色の液体、スプーン添え。
わいわい……
味噌汁同様、見た目でワクワク感がしんなり。
でも出汁がいい匂い。それに温かいです。
干し椎茸から出汁をとって醤油で調えて片栗でとろみをつけたといったところでしょうか。
とろみは強くないので口に含むと唾液と混じってさらりとなります。
食べるとお腹がキュルキュルと鳴りながら活動を始めました。しばらくしてトイレに行きました。これでもう出すものはなさそうです。
今日は入浴がない日なので、この後は完全に自由時間です。
洗濯
明日はどうも天気がよくないようです。
夜に洗濯するつもりはなかったのですが明日洗濯しても部屋干しするだろうから、時間も有り余っているので今からすることにしました。
パジャマに着替えたら、昨日と今日の2日分の洗濯物をもって脱衣場へ行きました。浴場の脱衣場に洗濯機があります。
それぞれが持参した洗濯ネットに入れて、二人分を一気に洗濯機に入れました。家庭にある普通の洗濯機です。
洗剤は家にいつからあるのか謎なサンプル品があったのでそれを持ってきたので使いました。
洗濯干し場はベランダと言いますか、本館との渡り廊下と言いますか、屋根付きの屋外にあります。
道場に日がさんさんと注ぐ印象がないので、干してもなかなか乾かなそうに思えます。
洗濯干し場に置いてある物干しハンガーを二つとハンガーとピンチをいくつか拝借して、部屋に持って帰りました。
壁のフックやカーテンレールを利用して部屋干ししました。部屋も寒いですが電気ストーブをつけているので屋外よりはまだ部屋の方が乾くかなと。
壁全面が洗濯物で覆われ、部屋は一段と狭くなりました。
この後はずっとテレビを見て、21時に就寝しました。
元気が無い「断食道場体験記 三日目」に続きます。